馬の痛みを和らげるNSAIDsの効果的な使い方【獣医師監修】

Apr 15,2026

馬の痛みを和らげるNSAIDsってどんな薬?答えは、馬の炎症や痛みを効果的に緩和する重要な薬剤です。私たち馬主にとって、緊急時に備えて知っておくべき基本知識と言えるでしょう。獣医師の私がよく遭遇するのが、「バナミンとビュート、どっちを使えばいいの?」という質問。実はこの2つ、痛みを抑えるという点では同じですが、適した症状が違うんです。この記事では、馬のNSAIDsの正しい選び方と使い方を、現場で得た経験を交えながらわかりやすく解説します。特に重要なのは、自己判断で薬を与えないこと。あなたの愛馬に合ったNSAIDsを、適切な方法で使うことが何よりも大切ですよ。

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馬の痛みを和らげるNSAIDsの基本知識

NSAIDsってどんな薬?

獣医師から「緊急時に備えてこの薬を用意しておきましょう」と言われることがあるでしょう。それがNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)です。馬の痛みや炎症を抑えるために使われる薬で、私たち人間が風邪をひいた時に飲む解熱鎮痛剤のようなものだと考えてください。

NSAIDsは、炎症や感染時に痛みを感じさせる酵素の働きをブロックします。例えば、転んで膝を擦りむいた時、その部分が赤く腫れて痛みますよね? 馬も同じように、怪我や病気で炎症が起きると痛みを感じるのです。NSAIDsはその痛みの伝達を遮断してくれるんです。

3種類の代表的なNSAIDs

馬用のNSAIDsには主に3種類あります。それぞれ特徴が違うので、症状に合わせて使い分けることが大切です。

薬品名 一般的な名称 主な用途
フルニキシンメグルミン バナミン 疝痛(せんつう)や内臓の痛み
フェニルブタゾン ビュート 筋骨格系の痛み
フィロキシブ エクイオックス 慢性痛(関節炎など)

バナミン:疝痛の救世主

馬の痛みを和らげるNSAIDsの効果的な使い方【獣医師監修】 Photos provided by pixabay

どんな時に使う?

「うちの馬が急にお腹を痛がっている!」そんな緊急事態に真っ先に思い浮かぶのがバナミンです。疝痛(せんつう)と呼ばれる馬の腹痛に特に効果的で、抗炎症作用と鎮痛作用の両方を持っています。

獣医師が到着するまで1時間以上かかることもありますよね? その間、バナミンがあれば馬を少しでも楽にしてあげられます。うちの牧場でも常備していますが、いざという時に本当に助かります。

使い方のポイント

バナミンは注射剤とペーストタイプがありますが、絶対に筋肉注射してはいけません! 組織壊死を起こす危険があります。ペーストタイプは体重計付きのシリンジで、簡単に適量を測れるようになっています。

「薬をあげたのに症状が悪化している」と感じたら? それはより深刻な状態のサインかもしれません。すぐに獣医師に連絡しましょう。

ビュート:関節痛の味方

筋骨格系の問題に効果的

馬が足を引きずっている、傷が痛そう...そんな時はビュートが活躍します。関節炎や外傷による痛みに効果的で、粉末、錠剤、ペースト、注射剤と様々な形態があります。

私の経験では、特に老馬の関節炎管理に重宝します。ただし、長期使用には注意が必要で、胃潰瘍を引き起こす可能性もあるんです。

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どんな時に使う?

ビュートの粉末を餌に混ぜる時、馬が気付かないようにするコツがありますよ。少量の水やアップルソースと混ぜると、餌の底にたまりにくくなります。甘党の馬なら、シロップを少し加えるのもいいでしょう。

でも、いきなり量を増やしたりしてはいけません。必ず獣医師の指示に従ってくださいね。

エクイオックス:慢性痛に優しい選択肢

長期的な使用に適しています

「高齢の愛馬が関節炎で苦しんでいる...」そんな悩みを抱える飼い主さんに知ってほしいのがエクイオックスです。腎臓や消化器への負担が比較的少ないので、長期の疼痛管理に適しています。

子馬の発熱や関節炎にも使えますが、なぜ他のNSAIDsより優れているのでしょうか? 答えは、子馬の未発達な腎臓や腸管への負担が少ないからです。特に潰瘍になりやすい消化器系を保護しながら効果を発揮します。

錠剤の与え方のコツ

エクイオックスの錠剤は小さいので、餌に混ぜると見失いがちです。私のおすすめは、少量の餌でまず錠剤だけを与えてから、残りの餌を与える方法。これなら確実に薬を飲ませられます。

「錠剤を砕いてもいいですか?」とよく聞かれますが、絶対に自己判断で砕かないでください。薬の効果が変わってしまうことがありますから。

NSAIDsの正しい与え方

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どんな時に使う?

虫下しと同じ要領で与えます。シリンジの先を馬の口の奥に向け、一気に押し出しましょう。コツは、馬が頭を上げないようにすること。うちの馬は最初嫌がりましたが、今ではすっかり慣れました。

注射剤の注意点

「自分で注射してもいいですか?」いいえ、静脈注射は絶対に獣医師に任せてください。馬の首には動脈と静脈が重なっていて、間違えると大変なことになります。発作を起こして後ろに倒れることもあるんです。

実際、近所の牧場で素人が注射を試みて大変なことになった例があります。専門家でさえ慎重に行う処置ですから、私たち素人が安易に手を出すべきではありません。

長期使用のリスクと対策

考えられる副作用

NSAIDsは確かに便利ですが、長期間使い続けると腎臓や胃腸に負担をかけます。特に胃潰瘍になりやすくなるので、獣医師から胃腸保護剤を同時に処方されることもあります。

私の知る20歳のサラブレッドは、関節炎のためエクイオックスを長期使用していましたが、定期的な血液検査と胃カメラで健康状態をチェックしていました。それでも時々食欲が落ちるので、サプリメントも併用していましたよ。

こんな時はすぐに獣医師へ

馬の様子がおかしいと感じたら、迷わず専門家に相談しましょう。NSAIDsは正しく使えば痛みから解放してくれますが、誤った使用は逆効果です。

先日、知人が自己判断でバナミンとビュートを同時に与えてしまい、馬が危険な状態になったことがありました。二つのNSAIDsを一緒に使うのは絶対にやめてくださいね。

よくある質問にお答えします

バナミンとビュートの違いは?

化学的には別物ですが、どちらも痛みと炎症を抑える効果があります。違いは、バナミンは内臓痛に、ビュートは関節痛により効果的という点です。

市販の鎮痛剤は使える?

人間用のイブプロフェンやアスピリンを馬に与えるのは危険です。馬専用の薬剤を使いましょう。どうしてもという場合は、必ず獣医師の指導を受けてください。

馬の健康管理で大切なのは、適切な薬を適切な方法で与えること。NSAIDsはあくまで対症療法ですから、根本的な治療と並行して使うことが大切ですよ。

馬の痛み管理における最新トレンド

代替療法の可能性

最近ではNSAIDs以外にも、馬の痛みを和らげる方法が注目されています。例えば、鍼治療が競走馬の腰痛に効果的だという報告があります。私が訪れたある牧場では、週に1回鍼治療を行い、NSAIDsの使用量を半分に減らすことに成功していました。

面白いことに、馬は鍼治療を受けている最中にリラックスして眠ってしまうことも多いんです。治療後は気持ちよさそうに伸びをして、元気に走り回る姿が見られます。ただし、鍼治療は資格を持った専門家にしかできませんから、興味がある方はまず獣医師に相談してみてください。

サプリメントの活用

「薬に頼らずに痛みを軽減できないか?」と考える飼い主さんも多いでしょう。そんな方におすすめなのが、グルコサミンやコンドロイチンを含む関節サプリメントです。特に高齢馬の場合、毎日の食事に混ぜることで関節の動きを滑らかに保つことができます。

サプリメント 主な成分 期待できる効果
関節ケア グルコサミン、MSM 関節のクッション性向上
消化器サポート プロバイオティクス NSAIDsによる胃腸障害の軽減
抗酸化ブレンド ビタミンE、セレン 炎症の軽減

馬の痛みを見分けるコツ

微妙な行動変化に注目

馬は痛みを隠す習性があるため、些細な変化を見逃さないことが大切です。例えば、いつもより餌を食べるのが遅い、仲間と遊ばなくなった、毛づやが悪くなったなど、一見関係ないように見える変化が痛みのサインかもしれません。

私の経験では、馬が片方の耳だけを頻繁に動かしている時は、その側に痛みがあることが多いです。また、前足で地面を掻く動作が増えたら、どこかが不快だと訴えている可能性があります。こうした小さなサインを見逃さず、早めに対処してあげましょう。

ボディランゲージの読み方

「馬が痛がっているかどうか、どうやって判断すればいいの?」これはよく聞かれる質問です。答えは、馬の表情と姿勢を注意深く観察することです。痛みがある馬は、目を細めたり、上唇を引き上げたりすることがあります。

特に分かりやすいのは、背中の丸まり尾の動きです。背中を丸めてじっとしている時や、尾を不自然に振っている時は、どこかが痛い可能性が高いです。うちの馬が疝痛になった時も、最初はただじっとしているだけでしたが、よく見ると尾を小刻みに震わせていたんです。

緊急時の対処法

獣医師到着までにできること

馬が明らかに苦しそうにしている時、私たち飼い主はどうすればいいのでしょうか?まずは落ち着いて行動することが大切です。馬を静かな場所に移動させ、新鮮な水を用意しましょう。ただし、疝痛の疑いがある場合は水を飲ませすぎないように注意が必要です。

私のおすすめは、馬の様子を動画に撮っておくことです。獣医師に症状を正確に伝えるのに役立ちます。また、体温、脈拍、呼吸数を測れるように、常に体温計と時計を準備しておきましょう。これらの情報は、獣医師が適切な治療を判断するのに大変役立ちます。

応急手当の基本

怪我をした場合、まずは傷口をきれいな水で洗い流します。NSAIDsを使う前に、傷の状態を確認することが重要です。深い傷や化膿している場合は、薬を塗るよりも先に獣医師の診察を受けるべきです。

うちの牧場では、常に滅菌ガーゼと生理食塩水をストックしています。これらは人間用のものでも代用できますが、必ず期限を確認してくださいね。また、包帯を巻く時はきつく締めすぎないように注意しましょう。馬が動いた時にずれない程度のゆるさが理想的です。

馬の健康管理の日常的なコツ

定期的な健康チェック

痛みの早期発見のために、毎日簡単な健康チェックを行う習慣をつけましょう。朝の餌やり時に、馬の全身を軽く撫でながら、異常がないか確認するのがおすすめです。この時、皮膚の状態や筋肉の張りをチェックできます。

特に注意すべきは、脚の腫れや熱です。手の甲で触れて、左右の温度差がないか確認しましょう。私のやり方は、まず首から始めて、肩、前脚、背中、後ろ脚と順番に触っていきます。こうすると、どこか一箇所をチェックし忘れる心配がありません。

適切な運動量の維持

「運動不足だとどんな問題が起きるの?」実は、適度な運動は関節の健康維持に欠かせません。ただし、過度な運動は逆に関節を痛める原因になります。若い馬と老馬では、必要な運動量が全く違うことを覚えておきましょう。

私が管理している25歳の元競走馬は、毎日30分程度の軽い散歩がちょうどいいようです。一方、5歳の元気なポニーは、1時間以上の運動が必要です。馬の年齢と体力に合わせて、無理のない範囲で運動させてあげてください。雨の日は室内で簡単な調教をするのもいいでしょう。

馬との信頼関係を築く

薬を嫌がる馬への対処法

馬によっては、薬の味やにおいを嫌がってなかなか飲んでくれないことがあります。そんな時は、少しずつ慣らしていくことが大切です。まずは薬のにおいを嗅がせてから、ごく少量を舌の上に乗せてみましょう。

うちの馬も最初はビュートのペーストを吐き出していましたが、今ではおやつ感覚で喜んで食べます。コツは、薬を与えた後すぐに大好きなニンジンやリンゴをあげることです。こうすると、「薬を飲めばいいことがある」と学習してくれるんです。

日頃からのコミュニケーション

馬としっかり信頼関係を築いておくと、いざという時の薬の投与がスムーズになります。毎日少しずつ体に触れ、ブラッシングをしながらコミュニケーションをとるのが理想的です。

私が特に重視しているのは、耳や口周りを触られることに慣れさせることです。こうしておくと、体温を測ったり薬を飲ませたりする時に、馬が驚いて暴れる心配が少なくなります。馬は賢い動物ですから、あなたが心から心配していることはきっと感じ取ってくれますよ。

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FAQs

Q: 馬用NSAIDsで最もよく使われるのはどの薬ですか?

A: 馬用NSAIDsで最もポピュラーな3種類は、バナミン(フルニキシンメグルミン)、ビュート(フェニルブタゾン)、エクイオックス(フィロキシブ)です。私たち獣医師が現場でよく処方するのは、疝痛にはバナミン関節痛にはビュート慢性痛にはエクイオックスという使い分けをしています。特にバナミンは、緊急時の疝痛対策として多くの馬主さんに常備されています。ただし、どの薬もメリット・デメリットがあるので、あなたの馬の状態に合わせて獣医師と相談しながら選ぶことが大切です。

Q: バナミンを筋肉注射しても大丈夫ですか?

A: 絶対にやめてください!バナミンを筋肉注射すると、組織壊死や重篤な細菌感染を引き起こす危険性があります。私たち獣医師も、たとえ薬の説明書に「筋肉注射可」と書かれていても、静脈注射か経口投与しか行いません。特に自宅で投与する場合は、ペーストタイプを使うのが安全です。万が一誤って筋肉注射してしまったら、すぐに獣医師に連絡してください。

Q: 馬に人間用のイブプロフェンを与えてもいいですか?

A: 自己判断で人間用の鎮痛剤を与えるのは非常に危険です。馬と人間では代謝の仕組みが全く異なり、適切な投与量も大きく変わります。私たちのクリニックでも、飼い主さんが市販の痛み止めを与えてしまい、胃潰瘍や腎障害を起こした症例を数多く見てきました。どうしても必要な場合は、必ず獣医師の指導のもとで、適切な種類と量を守って使用してください。馬専用のNSAIDsを使うのが最も安全です。

Q: バナミンとビュートを同時に使ってもいいですか?

A: いいえ、複数のNSAIDsを同時に使うのは厳禁です。私たち獣医師も絶対に勧めません。なぜなら、重篤な胃腸出血や腎不全を引き起こす可能性があるからです。実際に、飼い主さんが自己判断で2種類のNSAIDsを併用した結果、命に関わる状態になった馬もいます。もし現在の薬で効果が不十分だと感じたら、まず獣医師に相談してください。薬を変えるか、他の治療法を検討する必要があるかもしれません。

Q: 老馬の関節炎に最適なNSAIDsはどれですか?

A: 老馬の関節炎管理には、エクイオックスがおすすめです。私たちの経験では、従来のNSAIDsに比べて腎臓や消化器への負担が少なく、長期使用に適しています。特に高齢馬は腎機能が低下していることが多いので、エクイオックスのような選択的COX-2阻害薬が安心です。ただし、個体差がありますので、定期的な血液検査を受けながら、あなたの馬に合った投与計画を獣医師と立てることが大切です。

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